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2019年1月31日木曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察~弦捻りの誤解~

27.弦捻りの誤解

弦捻りを効かせることに懐疑的な人もいると思います。それはおそらく、下の写真①のような残身になってしまうことをイメージしているか、ちょっとやってみて、①のようになってしまって諦めてしまったかと思います。しかし、それは、誤解であるし、やり方が間違っているからなので、そのことを今回は検証して行きます。


<仮説19>
弦捻りの誤解

<検証>
弦捻りを効かせると、残身で親指が①のように下になり手の甲が上になるのではないか、と誤解している方がいるかもしれません(初心者に多いのですが)。このような残身となるのは、手首を捻って離すか、離れた後に手首を捻る動作をやって作るからであって、決して取り懸けを解いて離れた残身ではありません。
弦捻りを効かせて取り懸けを解いて離れるという現象が起きたときは、②のように親指が上にくる残身になります。
弦捻りを効かせて取り懸けを解いて離れた瞬間、取り懸けは弦捻り方向に回りきり親指は下を向きます。そしてこの状態から腕を開いていくと、手よりも斜め下にある肘を中心に傾斜した円弧を描くので、人の骨格の軌跡上、残身位置では、必ず親指が上にくるのです。

<まとめ>
手首を捻って離すか、離れた後に手首を捻る動作をやると腕が開く間も手首を捻る動作をやりつづけるので、①のような作った残身になります。これは取り懸けを解く弦捻りではなく、離すときまたは離した後に手首を捻ると言う動作にほかなりません。決して誤解しないでください。


次回は、勝手の中指で親指の腹を押し出すについてを予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!


弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)


51.「離れ」の瞬間を考察する


がんばれ!

2019年1月28日月曜日

1月のベストな的中

1月のベストな的中はこれです。
的中の精度を上げるには、やはり、勝手の手の内が大切であること、離れへのカケ解きの作用を慎重に進めなければならないことを、改めて痛感した月でした。

的中と仲良しになるためには、ぜひ、弓道の的中(射技)の物理的考察を参考にしてください。

2019年1月24日木曜日

エコな生活~バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編3)~

21.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編3) 

11.バッテリー(鉛)は再生出来ますで紹介したパルス発生機取り付け後のその後の話16.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編1)のその後の話19.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編2)のその後の話です。
パルス発生機 
2ヶ月後12月の状態です。右から2番目の緑色のランプが光り始めているようにも見えます。2ヶ月前とは少し違って見えます。気温が10℃を下回ってきている状態で弱ってきていないのは、復活の兆しということでしょうか?
目標とする状態はこれです。(走行バッテリーON状態)
3ヶ月後、1月の朝、気温2℃での状態です。 この寒さの中でも、赤ランプが消え緑ランプが1目盛り上がりました。いい兆候です。今後に期待出来そうです。引き続きモニターして行きます。
冬場はバッテリーが弱ります。皆さんもチェックしておきましょう。

次回は、(未定)を予定しています。
エコな生活のために、またのお越しをお待ちしています。



エコな生活
もくじ

1.太陽光発電設置から10年
2.太陽光発電の費用は高い?
3.遮熱塗料にしてみよう
4.役に立つエコカーの選び方
5.役に立つセカンドカーの選び方
6.太陽光発電の故障と復活
7.電気自動車ってどうよ?
8.Leaf to Homeって何?
9.オール電化なのにガスファンヒーター?
10.LED電灯も進化してます

11.バッテリー(鉛)は再生出来ます
12.ペアガラスサッシにして良かった
13.脱衣所にエアコン
14.リーフの冬はすぐに暖かい
15.エコキュートのスペースと水圧
16.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編1)
17.電気自動車ってどうよpart2(充電はタダ?)
18.エアコンの風向をカスタマイズ!
19.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編2)
20.まだまだ素足でいけます

21.バッテリー(鉛)は再生出来ます(続編3)


2019年1月21日月曜日

3Dプリンタと遊ぶ~PET材料を使ってみる~

15.PET材料を使ってみる 

庭にあるスポットライトが古くなってレンズが黄ばんで来たし、割れているので、今回はこれを修理することにしました。
材料は、透明のPET材を使ってみます。 印刷温度はPLAより少し高い230-250℃です。ダヴィンチProは最高温度が240℃までなので、230℃でやってみます。

まず、LEDランプの土台となる反射板の部分を作ります。(所要3時間) プリント時間を短縮するため、おわん型にせず光を拡散させるフラットな形にしました。収縮によるソリが少し出ますが、ABSほどではありませんでした。
次に、レンズの部分です。(所要7時間)
LEDが長いので、ずいぶん背の高い円筒型にしました。
透明材料とは言っても、このようにすりガラスのように白くなります。
古いレンズと比べると、白さが際立ちます。
これで出来上がりです。早速庭に配置し、点けてみました。
ランタンのような感じで、淡く照らしていい感じです。
長時間のプリントでも詰まりトラブルはなくなりました。

次回は、ABS材料の反りとの戦い2~一歩前進~を予定します。
3Dプリンタを使いこなすために、またのお越しをお待ちしています。



3Dプリンタと遊ぶ
もくじ

1.お買い物
2.お試し
3.何に使おうか?
4.我が家の困ったを解決
5.友人の困ったを解決
6.友人の困ったを解決続編
7.材料を楽しんでみる編
8.3Dプリンタが壊れた
9.イラストや画像を形にしてみる
10.レーザー刻印にトライ

11.3Dスキャナにもトライ
12.ABS材料の反りとの戦い
13.歯車を作る
14.大きさにチャレンジ
15.PET材料を使ってみる
16.ABS材料の反りとの戦い2~一歩前進~

2019年1月18日金曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察~既製のカケは親指で選ぶ~

26.既製のカケは親指で選ぶ

初心者や学生の皆さんは、最初は安価な既製のカケを買うことになると思います。安価と言っても1~2万円以上はしますので、決して安い買い物ではありません。

カケが自分の手に合っていなければ、軽妙な離れは出せませんし、的中もなかなか出せません。射形にも悪影響が出てきます。

弓道の的中(射技)の物理的考察の記事で説明してきた内容は、多少はカケがフィットしていない場合でも、軽妙な離れで的中を出せるロバスト性のある方法を説明していますが、フィットしている方が的中精度は良くなりますので、既製のカケのオススメの選び方を紹介しておきたいと思います。

<仮説18>
既製のカケは親指で選ぶ

<検証>
取り懸けの役割を考えてみましょう。

①暴発を起こさないように、弦を弦枕に密着させ、親指と中指をクロスさせて、取り懸けがロックされた状態を作る。
②弓から矢口が開かないように矢を押さえて、矢の姿勢を保持する。
③的付け通りに矢を送り出すために、親指の位置が動かないように、親指を中心に取り懸けを解く。
④耳・頭・腕に弦が当たらないように、弦の軌跡をガイドする。

このように取り懸けの役割を考えていくと、押し手よりも重要で多くの役割を持っていることが良くわかります。

①②④はカケがフィットしていなくても機能させることはできます。
しかし、カケ帽子がブカブカだ(長過ぎる)と、③の機能に影響が出ます。
なぜなら、取り懸けはカケ帽子の先端に中指をクロスさせて押さえる形になっているからです。
取り懸けを解いて離れる瞬間の現象では、クロスさせた中指が親指の先端を乗り超えます。したがって、カケ帽子が長過ぎると中指がカケ帽子の先端に引っ掛かって軽妙な離れが出せなくなるのです。当然、矢所はブレます。

まず、既製のカケを試着してみて、親指の先端がカケ帽子の頭に当たるものを確認して、いくつか選んでみてください。親指の先端が当たらないものは即却下です。中指や人差し指の根元が少し短くて指がすっぽり入いりきらなくても、親指の先端が当たるまで手がカケに入ればOKなのです。
親指の先端を合わせた既製のOKなカケ
(写真ではわかりやすいように、親指を出しています。)
手形をとってオーダーメイドすれば、すべての指が綺麗に収まるのは当たり前です。
手形から作ったカケ
しかし、既製のカケから選ぶ場合は、中指・人差し指の先端や親指と人差し指の股が先付きして、親指の先端がカケ帽子の先端に当たらないものが多いと思います。この場合はブカブカだ(長過ぎる)と思ってください。
親指の先端とカケ帽子の頭が2mmの開きがあるのでNG!
おそらく、既製のカケは大きなダンボール箱の中にガサッと入った状態で売っていることでしょう。なので、まず、親指の先端がつくものだけを選んで、その中で最も中指や人差し指の収まりの良いものを選択してください。それがベストチョイスです。

と、ここまでは誰もが言っていることだと思いますが、この記事ではその物理的根拠を説明していきたいと思います。

ちなみに、私は訳あって上のNGのカケを使っていますが、この弓道の的中(射技)の物理的考察で説明しているカケ解きの方法を実践していますので、ベストな的中シリーズで紹介しているような的中を出すことができています。
これは、取り懸けた3つの指を薄く絞る(クロスする角度を浅くする)ことで、長いカケ帽子の先端の引っかかりを小さくしかつ弦捻りの作用を(てこの原理で)増幅させるようにしているからです。

自分の手に合ったカケで、親指と中指を薄くして、浅い角度で取り懸けた場合、このようにカケ帽子先端の部分と中指の重なりあった一部分(青斜線部分)でロックを掛けていることになるので、親指中心の弦捻りを掛けることで取り懸けが解けて、軽妙な離れが出せます。
しかし、カケ帽子が長くブカブカだと、親指と中指の重なる開始点Aが同じ位置でも、その長過ぎる部分(赤斜線部分)も中指と重なることになり、これではもはや自分で手を開かないと弦を離すことができなくなります。
でも、そんなブカブカなカケを選んでしまった場合でも、悲観することはありません。親指と中指をさらに薄くして浅い角度で取り懸けることで、重なり部分は小さくすることができ、ブカブカなカケでも取り懸けを解いて離れることができるようになります。取り懸けを薄くすることは軽妙な離れを出すために重要なのです。
反対に、中指を折って握るように取り懸けると、手に合ったカケをしていても、親指と中指の重なる部分が増大して、手を開かないと離れない状態になってしまいます。
多くの人は、取り懸けを解いて離れるための取り懸けの手の内を教えられないままなので、手を開いて離すことになり、的中と仲良くなれないままでいます。実にもったいない話(離し)であると私は思います。


<まとめ>
既製のカケは、親指の先端がカケ帽子の先に当たるものの中から選びます。
弓道の的中(射技)の物理的考察で説明している方法は、多少ブカブカなカケでも的中が出せるロバスト性を持った方法です。これは、ベストな的中シリーズで検証されています。


次回は、弦捻りの誤解を予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!


弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)


51.「離れ」の瞬間を考察する


がんばれ!

2019年1月4日金曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察~カケ解きはどのように作用させればいいの~

25.カケ解きはどのように作用させればいいの?

さてここで振り返ってみましょう。

物理的に見れば、的中は「的付け通りに矢を飛ばす」ことでしか実現は出来ません。「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な条件は、
①正しい的付けが出来ていること
②押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えること
なのです。
押し手の親指と勝手の親指が動かない状態で離れの瞬間を迎えるためには、自分で離す動作をするのでは無く、カケ解きによって取り懸けを解いて離れることが最も簡単な方法であることです。(下記リンク参照)
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~

カケ解きの方法は難しい技でも何でもなく、そのメカニズムを理解すれば誰にでも出来ることで、少し練習すれば補助輪を外して自転車が乗れるようになるのと同じくらいのことなのです。(下記リンク参照)
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか

したがって、取り懸けを解いて離れることが出来ているかいないかは、その方法を知っているかいないか、そして、それをやろうとするかしないか、そのようなことになります。

さらに、取り懸けを解く離れは、会での張り合いによって必ず起こることなので、早気やもたれなどと言ったものとはまったく無縁になります。

ちなみに、早気やもたれを射癖と言いますが、会を引き分けのゴールと考えていることや離れを反射運動で出すものだと誤解しているために起こる勘違いだと私は思います。

離れは自分でやるものではありませんが、会がなければ起こらないことですし、自分でコントロールはできるものなのです。(これらのことはこれまでの説明で物理的に検証済みです)

離れ
はカケ解きの力を作用させた先に起こる物理現象であることをしっかりと理解しておきましょう。

今回は、カケ解きのもう少し細かい具体的な方法を検証してみます。


<仮説17>カケ解きはどのように作用させればいいのか?

<検証>
離れに導くにはカケ解きの力を作用させることが必要です。何もしないで引っ張っているだけでは離れが起きるわけもなく、離れが起きないから故意にしろ反射運動にしろ結局自分で離すということになるのです。

カケ解きの作用のメカニズムを表すと下図のようになります。
左側は、引き分けで暴発しないように中指で親指を押さえ、親指は中指に密着させている時の力の方向を表しています。この時、弦捻りは弦枕に弦を密着させていてやはり暴発を防いでいます。
会に入って詰め合いが完了した後、張り合いと同時に暴発しないようにロックしていた力の方向を変えながら弦捻りをかけていく状態が中央になります。このとき、中指は親指の爪側を押さえている方向ではなく、親指の横腹側を押し出す方向に変化させていくようにします。親指はこの力の反作用としてかけていくようにします。
張り合いと、取り掛けの指の力の方向変換と、弦捻りとが合わさって、中指と親指の静止状態が臨界を超えて取り懸けが解け離れが起きます。(右側)

つまり、カケ解きは物理的に言うと、暴発を防ぐロック状態から取り懸けが解ける状態にする力の方向変換ということになります。力の強さを変えていくことではありません。(力んだり緩めたりはしないということ)

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くかで説明したように、カケ解きのメカニズムはペンを使って簡単に検証することができるのです。

そして、補助輪を外して自転車に乗るときの練習のように、実際に弓を引いてカケ解きの作用をできるようにしていけば身につけることができるのです。

最初は目一杯意識しないとなかなかできるようにはなりませんが、意識しなくてもできるようになれば、残身の味わいも変わってくるはずです。そして、矢所のブレも小さくなり、的中とも仲良くなることができるようになるでしょう。(ブレが小さくならない場合は作用のかけ方が焦燥なのです)

カケ解きのメカニズムも解明でき、幸い3Dプリンタも使えるので、カケ解きが練習できるもの「カケホド規」を作ることにも成功しました。
ゴム弓は離れない!~カケホド規の誕生~
「カケホド規」については、もう少し検証を行った後に、紹介したいと思います。

ここで振り返ったことが、皆さんの上達に役に立てば幸いです。


次回は、既製のカケは親指で選ぶを予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!


弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)


51.「離れ」の瞬間を考察する


がんばれ!