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2021年11月13日土曜日

◎弓道の的中(射技)の物理的考察〜「矢に学ぶ」③矢押し〜

 43.「矢に学ぶ」③矢押し


今回の2ヶ月の弓道場の休館期間は、稽古のブランクからの復活の方法を学ばせてくれました。もうこのようなことが無いことを望みますが、受験、就活、体調不良、出張、転勤などでブランクになってしまう人も多いかと思います。そういったときのリスタートを好機に、ぜひ、このブログの記事を参考にして理にかなった引き方を身に付けてください。


「矢に学ぶ」

①矢を分ける

②矢筋にのせる

③矢押し(今回)

④矢引き

⑤矢の離れ口

⑥矢妻をとる

⑦矢になる


昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。


「矢に学ぶ」(原文)

S59.10.25

③矢押し


「矢押し」と申しますのは「矢筋」回りに、「手筋」を動かすということであります。一般には押手に「伸びをとる」と申しています。


先ず大三で少し「振り込み」することによって、押肩の据わりをよくし、次に大三からの引分けには、先ず押肩から「下筋」を使って押しはじめ、三分の二あたりで押肘を「詰め」、会にはいる前に「上筋」をキチンと定め、弓圧は「角身」一点で受け止めます。(以上押技)


会にはいったら「鵜の首」(親指)を油断なく的に近づけるよう伸ばして行きます。これが「心気の働き」です。このとき「小指」を自分の方に引き寄せると一層角身が利きますが、その「利き具合」が緩急自在でなければなりません。(以上手の裏)



ここでのポイントは、以下の3点になります。


①的に向かって真っ直ぐに押していくこと。

②角見で弓を押すこと(ベタ押しにならないこと)。

ここは、既成概念の部分なので、物理的には、弓の捻りを効かせて、角見の皮を巻き込み、中手骨で真っ直ぐ押すということになります。


③弓の姿勢は角見と小指で安定させること。


②がよく誤解されます。

実際には、弓は虎口(親指と人差し指の間)に面で当たっており、角見の部分が強く当たっていれば良いわけですが、皆さん「角見で押す」と表現するので、文字通り角見の部分を弓に当てて手首を控え過ぎ手首を捻るように離す人も多く、このような離れになっている人は、往々にして、頭や腕を弦で払ってしまっています。


以下の記事を参考にして下さい。

13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?


29.弓返りに大切なのは弓の捻り


注意したいのは、小指を無理やり巻き込んで、ベタ押しや握り過ぎにならないことです。手首の力みで弓の姿勢を崩してしまいます。虎口と小指の引っ掛かりの2点で充分です。弓返りは手の皮と弓との捻りのモーメントが起こしてくれます。


大三からの引き分けの時の力のかけ方の説明もあります。矢の水平と体との平行を保つようにして(ここが非常に難しいのですが)、動作を押しから行うことを意識して引けば、自然にこの説明のようになってくるでしょう。



<まとめ>

弓道の伝承には、誤解を招く表現もあります。鵜呑みにするのではなく、冷静に物理的に考え、理屈に合わないと感じたら良く確認して行い、射癖とならないようにしましょう。



私は、大学の弓道部で弓道を始めました。最初は、高校からの経験者が良く的中を出すので羨ましく思いましたが、身に付いた射癖が修正できずに伸び悩む人も多かったように思います。理屈を理解できれば修正は出来ます。



次回は、「矢に学ぶ」④矢引き を予定します。

的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。


がんばれ!

2021年11月5日金曜日

◎10月のベストな的中

 2ヶ月の弓道場休館期間明けの10月のベストな的中は、これです。


休館期間中は左肩関節痛もあってエクセサイズもできず筋力の衰えは著しく、普段使っている18kg並の弓はまともに引けませんでしたので、8年前に弓道を再開するときに買った16kg伸とを交互に使い、18kg並の引き方を思い出しつつ、筋力を回復をさせながら稽古を再開しました。

ここで大事なのは、弱い弓を引くときも弱い弓に引き方を合わせて引くのではなく、いつも使っている弓の引き方で稽古をすることです。

なんとか4回目の稽古で、ベストな的中(皆中)が出せるよう復活できました。


達人技が出せるほどの実力もありませんので、ただ、理屈にかなった引き方を再現することを稽古していくことだけで得られた結果です。



的中と仲良しになるためには、ぜひ、弓道の的中(射技)の物理的考察を参考にして稽古を楽しんでください。


がんばれ!


 


2021年11月1日月曜日

キャリーバッグのキャスター修理〜3Dプリンターのフィラメントが役にたつ〜

キャリーバッグのキャスターの軸の片側が外れてしまった。


樹脂の軸受け部分が摩擦熱で溶けて変形して、横に穴が空いてしまったようです。とりあえず、車軸のかしめ部分をドリルで削って、車輪を外します。

軸受け部分の樹脂の面が半分以上無くなっています。無くなった部分を埋めないと車輪の軸が支えられませんが、エポキシ系接着剤で埋めるには欠落部分が大き過ぎます。樹脂材料を補充して埋めることができないか・・・?


そうだ!樹脂材料と言えば、3Dプリンターのフィラメントがある!



3Dプリンターの積層の要領で、ハンダごてを使って、カーボンファイバー入り樹脂フィラメントを溶かして欠落部分を完全に埋めていきます。

埋め終わったら、車軸の穴をドリルで空けます。

新しいネジ式の車軸を取り付けます。

車輪と軸受けの摩擦する部分には、ワッシャーを入れて摩擦を防いでおきます。

キャスターが壊れた後もだいぶ引きずって引っ張りまわしたので、車輪のタイヤ部分のゴムの角もだいぶ削れているようですが、まだ充分使えそうです。

修理完了、復活です!