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2018年10月26日金曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察~正射必中に必要な幾何学的な必須条件~

17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件

弓道は中らない。確かに弓道で的中を出すのは難しいです。では、なぜ中らないのでしょうか?

3.的中についてで「的付け通りに矢を飛ばす」ために不可欠な物理的条件について説明しました。しかし、押し手と勝手のブレ量を0で離れることは不可能です。では、どのくらいのブレ量であれば的中できるのでしょうか?


<仮説8>
正射必中に必要な幾何学的な必須条件がある。

<検証>
近的の的は直径360mm。的枠の内径を直径350mmとすると、的までの距離が28mで矢の長さは約1mなので、的枠の中に矢が入るために許容される矢先のブレ量は、
直径350mm×1m/28m≒直径12mm以内

矢先だけでなく筈側も両方ブレるので、それぞれのブレ量は、
直径6mm/2=±3mm以内

でなければなりません。

つまり、離れの動作で押し手と勝手のブレは、±3mm以内に収めることが必中の必須条件となるのです。
実際には、的付けやほお付けのズレ量も加わるので、これよりももっと小さくすることが要求されます。

なぜ弓道では矢が的に中らないのでしょうか?
その答えは、離れの際のブレ量が±3mmを超えるからなのです。

的付けのズレ量も含めて±3mm以内の離れを実現することが、正射必中の物理的な必須条件となりますが、それを実現するためには、離すではなく離れでなければなりません。その方法をこのブログで、できるだけ解りやすく具体的に説明してきました。

幾何学的な必須条件が明確になることにより、離れに求められる精度、離れで実現しないといけないことが具体的になることで、練習へのモチベーションが上がることを期待しています。


<まとめ>
正射必中に必要な幾何学的な必須条件は、
ブレ量±3mm以内の「離れ」を実現することである。
これは、誰も否定することはできない物理的事実です。


次は、細かい話にはなりますが・・・を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!


弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)


51.「離れ」の瞬間を考察する


がんばれ!

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