いよいよ今回は射技の核心、「的中率を上げるためにやれること」について、お話ししたいと思います。
これまで1年間、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきた一つ一つの因子の的中への影響度を確認し、もっとも相関のある因子を検証し、ある程度の確証を得るに至りました。そのことを説明します。
<仮説24>
的中率を上げるためには、弓道の的中(射技)の物理的考察で説明してきたことがやれていることを前提として、
①胸弦をしっかり付けて、弓を安定させ弓をしっかりと引き付けること。
②両肘で矢軸線方向に張り、会のままの離れを導く努力をすること。
この2つを意識して、精度高く引くことです。特に②は必須です。
<検証>
なんかごく当たり前のことで本当に効果があるのか?と思うかもしれませんが、結局、物理的な作用を突き詰めて行くと、最終的には、弓(矢)の姿勢を保つための3点を安定させること、矢軸線にまっすぐ離れることが、「的中率を上げるためにやれること」の決定的なポイントになるということなのです。
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~でも説明していますが、腕の付け根となる肩は胴体にくっついている関節ですから、ここがブレることはありません。この肩をリンクの中心として肘で張りをかけて上腕を安定させて離れることによって、ブレのない離れを実現できるのです。
しかし、私たちはどうしても、手先に力を入れ過ぎて弓を引こうとして「手先の弓」になってしまいます。
腕は肩を付け根とした2つ折りのリンクになっていますから、肩から最も遠い手先きに弓をコントロールする力をかけてしまうと、上腕と前腕と手の合わせた長さ分だけの大きな半径で起きるブレになってしまうのは当然です。(なので、多くの人はタイミングを合わせて離すことで的中を出す練習をすることになります)
しかし、肩から肘までの上腕がブレなければ、その先に付いている前腕と手はブレないということになりますから、弓をコントロールする張りは肘でかけて上腕を安定させて行くことが必須なのです。(「矢の澄み」につながります)
上腕をブレなくしても、肘から先の前腕がブレてしまえば同じじゃないの?と思うかもしれません。
しかし、
押し手側の前腕は肘の回内で上腕と一体化させますし、手首は上押しをかけて前腕と一体化させていますから、上腕がしっかりコントロールされていれば前腕はブレなくなっているのです。
勝手側は、会の状態では、肘の張りを弦に伝える繋ぎの役割でさえあれば良いわけなのですが、初心者の時は、押し手は角見で押して勝手は前腕の力で大きく離すことと教わるので、そのまま前腕で引くことがあたりまえになってしまい、その結果、いつまでたっても、どれだけ練習しても、「弓道は中らない」となってしまうのもしかたのないことです。
勝手側も、押し肘に合わせて、肘で張りを効かせることで、肩を中心とした弦枕までの仮想半径の接線方向で離れが起こるので、矢軸にまっすぐな方向に離れることになり、離れの方向のブレがなくなります。そして、肘が斜め後ろ下の後下死点に移動したあとに前腕が開いていって、残身になります。
上記2つの場合の離れは、ほぼ同時に起こることなので、判別がしにくいわけですが、中る離れをしているかどうかはここを観察しているとわかります。
この2つを意識して、精度高く引くことです。特に②は必須です。
<検証>
なんかごく当たり前のことで本当に効果があるのか?と思うかもしれませんが、結局、物理的な作用を突き詰めて行くと、最終的には、弓(矢)の姿勢を保つための3点を安定させること、矢軸線にまっすぐ離れることが、「的中率を上げるためにやれること」の決定的なポイントになるということなのです。
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~でも説明していますが、腕の付け根となる肩は胴体にくっついている関節ですから、ここがブレることはありません。この肩をリンクの中心として肘で張りをかけて上腕を安定させて離れることによって、ブレのない離れを実現できるのです。

肘で張りをかけることがポイント
しかし、私たちはどうしても、手先に力を入れ過ぎて弓を引こうとして「手先の弓」になってしまいます。
腕は肩を付け根とした2つ折りのリンクになっていますから、肩から最も遠い手先きに弓をコントロールする力をかけてしまうと、上腕と前腕と手の合わせた長さ分だけの大きな半径で起きるブレになってしまうのは当然です。(なので、多くの人はタイミングを合わせて離すことで的中を出す練習をすることになります)

ブレの出るメカニズム
しかし、肩から肘までの上腕がブレなければ、その先に付いている前腕と手はブレないということになりますから、弓をコントロールする張りは肘でかけて上腕を安定させて行くことが必須なのです。(「矢の澄み」につながります)
上腕をブレなくしても、肘から先の前腕がブレてしまえば同じじゃないの?と思うかもしれません。
しかし、
押し手側の前腕は肘の回内で上腕と一体化させますし、手首は上押しをかけて前腕と一体化させていますから、上腕がしっかりコントロールされていれば前腕はブレなくなっているのです。
勝手側は、会の状態では、肘の張りを弦に伝える繋ぎの役割でさえあれば良いわけなのですが、初心者の時は、押し手は角見で押して勝手は前腕の力で大きく離すことと教わるので、そのまま前腕で引くことがあたりまえになってしまい、その結果、いつまでたっても、どれだけ練習しても、「弓道は中らない」となってしまうのもしかたのないことです。

手先きで引くと肘が中心となって先に前腕が開きブレが大きくなる
勝手側も、押し肘に合わせて、肘で張りを効かせることで、肩を中心とした弦枕までの仮想半径の接線方向で離れが起こるので、矢軸にまっすぐな方向に離れることになり、離れの方向のブレがなくなります。そして、肘が斜め後ろ下の後下死点に移動したあとに前腕が開いていって、残身になります。
肘で引くと肩が中心となって先に上腕が開くのでブレない
上記2つの場合の離れは、ほぼ同時に起こることなので、判別がしにくいわけですが、中る離れをしているかどうかはここを観察しているとわかります。
残身の形は同じ綺麗な形になっても、的中はというとまったく別な結果になるのです。
離れを導く張りのかけ方・方向が間違っていれば、取り懸けを解く離れができるようになっても、今一つ的中率が上がらないという状態になります、矢所がバラついてきたら、両肘の張りの状態を点検する必要があります。
➡︎
中っているからとほおっておくと、的の周りを回り出して、急に中らなくなる。ということになるので、注意してください。
<まとめ>
的中率を上げるためにやれることは、両肘で矢軸線方向に張る精度を高めて、会のままの離れを導く努力をすることである。
離れを導く張りのかけ方・方向が間違っていれば、取り懸けを解く離れができるようになっても、今一つ的中率が上がらないという状態になります、矢所がバラついてきたら、両肘の張りの状態を点検する必要があります。


点検が必要な的中
肘の張りで離れている的中
中っているからとほおっておくと、的の周りを回り出して、急に中らなくなる。ということになるので、注意してください。
<まとめ>
的中率を上げるためにやれることは、両肘で矢軸線方向に張る精度を高めて、会のままの離れを導く努力をすることである。
ここでの説明は、弓道教本 射法八節図解の『会』の図の中で、「両肩の線を矢に近づける」とだけ表現されていることを、具体的に解釈したものと考えて良いでしょう。
次回は、33.かけがえのないものを受け継ぐにはを予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。



次回は、33.かけがえのないものを受け継ぐにはを予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。



1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?
21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある
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