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2018年11月23日金曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察~会では見えない動作がある~

21.会では見えない動作がある?

動と静、動中の静・静中の動、などといった味わいの深い日本語があります。これをどう感じるかは人それぞれですが、弓道の”会”では、それを実感することができます。


<仮説12>
会では見えない動作がある?

<検証>
引き分けから会では、腕を折りたたむ方向から腕を残身へ向かう方向へと、そして、取り懸けを弦が外れないようにロックしている方向から取り懸けが解ける方へと、これら二つの力の方向の変換が必須となります。

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか

これらは、目に見えない体の中での動作となります。外見は変わらないのだけれども、体の中の力をかける方向は変えていかなければ離れません。
上の連続写真には、会に入った直後③と離れ直前の会④があります。形はまったく同じですが、効かせている力の方向はまったく違う別物です。

短距離走にたとえると、③でやっとスタートラインに着いた状態で、④までは目に見えない体の中の動作でゴール(取り懸けを解く離れ)を目指して全力で走り抜く、離れというゴールテープを切った後は、残身というフィニッシュを向かえる。つまり、③~④の会が射技の本質なのです。

このことに気付き、この見えない動作を身につけなければ、取り掛けを解く離れを生むことはできず、大離れにもなりません。手を開く、腕を開く、体操のような離し方をやるしかないわけです。

この見えない動作を含めて、会は永遠の引き分けと表現する場合もあります。

しかし、これらを具体的に解説しているものにはなかなか出会えません。教本などでは、会は「詰め合い、張り合い、伸び合いを行う」と曖昧な言葉で済ませて、具体的にどうするのかを説明していないものが多いように思います。

この部分は鍛錬によって到達すべき暗黙の課題とし、あえて曖昧にすることで弓道の奥の深さを演出しているきらいがあるのではないかとも思えてしかたがありません。

なので、あえて私は、具体的に、物理的に、曖昧にせず、私の解釈を説明してきました。
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
私の解釈は間違いかもしれませんが、この先世間一般でも、正射必中の説明が明確になって、弓道の鍛錬の目標がはっきりとしてくることを期待します。

人は、体格、骨格、筋力、性格など人それぞれです。解釈にも諸説あって当然だと思います。むしろ色々な考え方が検証されて、人それぞれに合った方法を明確に示して身に付けてもらう方が発展的ではないかと思います。手の内は明かせないなどと言っている時代ではないと思います。


<まとめ>
会では、残身へ向かう方向やカケ解きを行う方向への目に見えない動作を行う射技の本質があります。外見に変化は見えなくても、最も重要な内なる動作なのです。

早気の人は、会を引き分けのゴールだと勘違いし、③~④の射技の最も重要な本質を知りません。いや、この弓道の中で最も味わいの深い部分のことを知ろうともせずに終わっているのかもしれません。実にもったいない”離し”(話し)なのです。会はやっとスタートラインについた状態なのです。そこからの会が射技の本質です。


次回は、残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!


弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

42.「矢に学ぶ」②矢筋にのせる

43.「矢に学ぶ」③矢押し

44.「矢に学ぶ」④矢引き

45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口

46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる

47.「矢に学ぶ」⑦矢になる

48.スランプの原因を物理的に考察する

49.取り懸けをミクロに考察してみる

50.取り懸けをミクロに考察してみる(大切な補足編)


51.「離れ」の瞬間を考察する


がんばれ!

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