ここからは、取り懸けを解いて離れる具体的な方法について説明したいと思います。これを読むと、おそらく、今までとは違った自分の射技との向き合い方ができるようになると思います。
離れに導くために、会では、詰め合い、張り合い、伸び合いが大切と言います。
詰め合い、張り合い、伸び合いとはいったい何なのだろうか?誰しもが持つ疑問なのですが、具体的に表現する人は少なく、感覚論、精神論、伝承などで表すわけです。私は誰もが体験できるように、できる限り具体的に表現して説明していきたいと思います。
あくまで私の解釈なので、違うと思う人は読み飛ばしてください。
また、流派が異なり取り懸け方が違う方や既成概念を盲目的に信じて止まない方も読まないでください。不必要な情報です。
しかし、できるだけわかりやすく、物理的に説明していきますので、否定できるところは少ないとは思います。参考にしてください。
<詰め合い>
詰め合いは、単純に、押し手、勝手、体の各部を会の正しい位置に納めること(詰めること)と理解すれば良いでしょう。
五部の詰め、八部の詰め、三重十文字や五重十文字を意識して行うことが大切です。これらの言葉の意味は、弓道教本第1巻に載っていますし、抽象的な表現でもないので、確認して欲しいと思います。
公営の弓道場に自主練に来ている学生さんたちを見かけますが、ほとんどの人が、五重十文字のうち、特に弦とカケ帽子の十文字がくずれ、カケ帽子が前傾していている人が多いように思います。
自分からは見えないのでなかなか気付いてはいないようです。しかし、矢口が開いたり、たぐり勝手になったりと射癖に直結するので、お互いが注意して治し合って欲しいと思います。
会で張り合いを効かせるためには、矢を離れるまで安定させていなくてはいけません。このときに唯一矢を保持できるのは、正しい取り掛けと弦とカケ帽子の十文字が整っていることが必要なのです。
取り懸け時点で、十文字を合わせて弦捻りを効かせ続けていれば、くずれることは無いと思います。
まず、会に入ったら、この詰め合いを整えます。張り合いはこの詰め合いが出来た前提で行うことになりますから、自身でしっかり点検してください。
短距離走のランナーがスタート位置について、手や足の位置を確認して、姿勢を整えている状態をイメージすれば良いでしょう。ここからが、勝手を解く離れを出すためのスタートになるのです。
▪五部の詰め
①左手、②右手、③左右の肩、④胸を張り詰める。
▪八部の詰め
五部の詰めに、⑥足、⑦腰、⑧腹の三ヶ所を加える。
▪三重十文字
①両足底ー②腰ー③両肩が、上方から見たとき正しく一枚に重なり、脊柱、うなじが上方に伸び、下半身を安定させるとともに、上半身を伸ばす。両膝間接の裏側(ひかがみ)を張る。
▪五重十文字
①弓と矢、②弓と押し手の手の内、③右手の親指の腹と弦、④胸の中筋と両肩を結ぶ線、⑤首筋と矢。
※弓道教本第1巻より
十文字(直角)が大切なのは物理的にも説明できます。直角に作用する力には分力が無いので、他の方向に力が作用することはなく、ブレが出なくなると言うことです。
次回は、張り合いについて詳しく説明していきたいと思います。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしております。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。
1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?
21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある
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