さて今回は、いただいた質問に答えることにいたします。
10.会での勝手の手の内を考えるの中での「勝手の中指で親指の腹を押し出す」ということを、もう少し具体的に説明したいと思います。
<仮説20>
勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
<検証>
引き分けの時は暴発しないように、勝手の中指と親指は第1関節部分で押えあっていることでしょう(写真①)。
取り懸けを薄くするには、写真に示すように中指と親指の第2関節部分で押し合うようにしなければなりません(写真②)。
この時、中指と親指の力の接点Aは、第1関節部分から第2関節側に移動します。中指と親指はクロスしているので、取り懸けを上から見ると親指の爪側から腹側に移動します(写真③)。
押し合っている第2関節は接点Aより後ろ側なので、接点A部分では、前に押し出す方向になるのです(写真②)。
このことを「勝手の中指で親指の腹を押し出す」と表現しました。しかし、接点Aを移動させて押し合うというような器用なことはしようと思っても出来ないので、中指と親指の第2関節を近づけ、薄くすることで、これを実現することになるわけです。
この感覚は、「11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか」で紹介したペンを使った方法で体感することが出来ますので、やってみてください。
また、勝手を前から見た力の方向は、7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~の図を参考にしてください。
補足しておきます。
中指と親指が押し合う力は、加える(力む)のではありません。引き分けで暴発しないように加えてきた力は、ほぼそのままで力の方向を離れを生み出すための方向に変えていけば良いだけです。力むと取り懸けが硬くなり、軽妙な離れは出せません。
<まとめ>
軽妙な離れを出すためには、取り懸けを薄くすること、力まず力の方向を変えていくことが必要です。会での張り合いのルーティーンに焦らずゆっくりと行うように織り込むと良いでしょう。
次回は、的中率を上げるためにやれることを予定します。的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?
21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある
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