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2018年7月27日金曜日

弓道の的中(射技)の物理的考察〜離れについて〜

4.離れについて

概ね、弓道の離れは以下の3つのパターンに分けられます。


①手を「開いて」離す。
②手の力を「緩めて」離す。
③取り懸けを「解いて」離れる。


もっとも多く見られるのは①です。
残身で手が開くのですぐ解ります。私も長い間この離し方しかできていなかった。

②はたまに見かけます。
アーチェリーに近い離し方なので的中が出る場合もありますが、押し手の手首が上がったり、肘が緩んだり、頭や手を弦ではらったりすることが多いようです。全身に力を入れている状態で、指先だけ力を抜くということはなかなか難しく、どこかに同じように力が抜ける部分が出て悪影響が出ます。残身への繋がりも無くなります。

①②は無理矢理離す動作を行うため、勝手がブレずに離すことが難しくなります。しかも、「離す」であって「離れ」ではありません。

離れは、カケの構造や取り懸け方を上手く利用して取り懸けを解く③でなければならないのです。会から残身が繋がっている離れは、会での力を途切れさせることのない③でなければ実現できないし、③でなければ、ブレのない安定した的中を出すこともできません。
離れを難しく考えることはありません。魔法でも神技でも無いのです。
反射的な運動と誤解している人もいるようですが(そういった人が早気になりやすいのだと思いますが)、「離す」は人が行う一次的な動作で「離れる」は人が行う作用の先に二次的に起こる現象なだけなのです。
つまり、取り懸けを解けるよう力を作用させるのが人が行う一次的な動作で、その作用の先に二次的に取り懸けが解けて「離れ」になる。ただそれだけなのです。

難しい技でもなんでもなく、指パッチンができる人なら考え方を理解するだけでできることです。こんなことは、めったに教えてもらえることではないと思います。後で細かく説明したいと思います。

2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)で説明したことを出来ていることが大前提になりますので、まずは「的中のための取り懸けの方法」を身につけてください。

自転車に一度乗れるようになればいつまでも乗れるように、「③取り懸けを「解いて」離れる」が身につけば、的中が出せなくなることは無くなってきます。

次回は、手を開いて(緩めて)離すことの弊害について を予定しています。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしております。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

がんばれ!

弓道の的中(射技)の物理的考察
もくじ

0.弓道の再開


1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える

11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?

21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて

29.弓返りに大切なのは弓の捻り

30.押し肘の回内はなぜ必要か?


31.夏の暑さから弓を守るには

32.的中率を上げるためにやれること

33.かけがえのないものを受け継ぐには

34.かけほどきを身につけよう

35.(続)夏の暑さから弓を守るには

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある

38.的中のための本当のねらいとは

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう

40.的中は矢から学べ


41.「矢に学ぶ」①矢を分ける

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