取り懸けで、親指の先端は中指のどこの位置にするのが良いのでしょうか?
この質問もよくされます。
取り懸けの方法は流派によって違いがあるようですが、ここでは、私が教えられてきたものに、物理的な解釈を加えた方法を説明します。
<仮説3>
勝手の親指を押さえる位置は中指の第1関節真下が良い?
<検証>
結論から言います。
取り懸けた時の親指の先端は、中指の第1関節真下でないと、軽妙な離れは生まれません。
会での取り懸けは、3つの指をほぼ平行に近づけ、指先の摩擦で止まっている状態にして、取り懸けを解くための準備をすると、これまで説明してきました。
この位置でないと、中指の中節骨と親指の末節骨(左図青色部分)をほぼ平行にしていくことができません。
さらに、取り懸けが解けるときには、中指が親指の腹を滑り出すことで弾きを生むのですが、親指を中指の第1関節と第2関節の間の深くまで取り掛けていると、中指の第1関節の膨みに親指が引っかかって、取り懸けは簡単には解けなくなります。
物理的にそうなのですから否定の余地はありません。(それで、結局、手を開いて離してしまうということになるわけです)
中指の第1関節の真下では引き分けでの暴発が不安だという人は、大三から少し強目に弦捻りを効かせるようにすれば、弦を弦枕と人差し指とに密着させることでロックが効くようになります。(それでも暴発が出る場合は、たぐり気味で平付けの可能性があるので、手首が折れないようにするためにも弦捻りを効かせましょう)
どうも信用できないと思うなら、簡単に確かめる方法があります。
素引きで普通に取り懸けて弦を少し引っ張ってみてください。親指を中指で押さえてないと弦は外れてしまいます。
では次に、3つの指を開いて腕を捻って、弦を弦枕と人差し指に密着させた状態で、弦を少し引いてみてください。
あら不思議!
捻りをかけ続けていれば弦は弦枕から外れないので、この状態でも弦が外れずに引けることが確認できると思います。
この様に弦捻りでロックが効いていれば、中指で押さえる位置は第1関節の真下で充分なのです。
このことは、増渕先生の動画でも紹介されています。
https://m.youtube.com/watch?v=bm3vRheQwEk&t=7s
<まとめ>
軽妙な離れを出すためには、弦捻りを効かせて、親指を押さえるのは中指の第1関節の真下にしましょう。
取り懸けの形とカケの構造は本当によく出来ています。単なる手の保護のためのグローブではありません。正しい使い方で活かしましょう。
次は、押し手の説明です。押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込むの?を予定します。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。

1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?
21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある
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