63.離れの起こるメカニズムを考察してみる
「会は、離れを生むためにある」
離れを起こすことに向き合う時間、それが会である。とすると、どのように離れは生まれるのでしょうか?
<仮説>
離れが起こるメカニズムがある
<検証>
さて、射法八節図解には、「両肩の線を矢に近づける」と表記されていますが、実際には口割りで矢を押し出してしまうため、物理的には「両肩の線を矢に近づける」ことは不可能です。なので、「両肩の線を矢に近づける」方向に力を働かせると言うふうに解釈すると、会での力のかけ方(ベクトル≒張り)が解ってきます。
これは、58.的中率をさらに上げるためにやれること〜(アップデート)で説明した「会四節」の「4.引きつけ」にあたります。
では、「会」の理解のために、その上腕の「引きつけ」がどう作用して離れを起こすのか、メカニズムを考えてみましょう。
上図に示すように、
- 上腕の「引きつけ」の力をかけることによって、右肩と折りたたんだ右腕の取り懸けの部分との半径Rで回転しようとする①’の力が働き、弦に作用します。
- 会での取り懸けの内では、弦を弦枕で押し出す方向に②の力を働かせています。
- さらに上腕の「引きつけ」ようとしても、弦は胸弦の位置で止まっているので、③の反力が生まれ、取り懸けに作用する③’となります。
- 取り懸けを解こうとする力②と③'が相乗作用を起こし、取り懸けを解きます。
- また、手の指を動かす筋肉は、上腕骨の肘の部分に付いています。腕を折りたたんだ状態で上腕が動けば、指は開く方向に動いてくれるのです。(61.会から離れの物理的考察を俯瞰して観る参照)
- これによって、上腕が緩むことなく、会のままの状態の「離れ」が生まれるのです。
これが、物理的にみえた「離れ」のメカニズムです。
したがって、上腕の「引きつけ」の力①が欠けても、弦を押し出す力②のどちらかが欠けても会のままの状態の「離れ」は生まれにくくなり、矢所はばらつきます。
<まとめ>
くどいようですが、
残念ながら、物理的にみると、的中するかどうかの90%以上(ほぼ100%)は離れをどのように迎えるかだけで決まります。
<参考>
54.「角見で押して離れる」という弓道の謎
会のまま離れることで、的中は実現するのですから、早気であっても的中は出せます。しかし、離れが起こるメカニズムを理解することで、「会四節」を取り入れて、離れを生むための会に取り組むようにしてみてはいかがでしょうか?安定した的中が得られると思います。
早気の人は、すぐに直ると思います。
的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。
解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。
1.はじめに
2.的中のための取り懸けについて(三つガケの場合)
3.的中について
4.離れについて
5.手を開いて(緩めて)離すことの弊害について(的中、上達を妨げるもの)
6.詰め合いについて
7ー1.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー2.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー3.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
7ー4.張り合いについて~取り懸けを解いて離れる方法~
8.伸び合いについて
9.会のままの残身について
10.会での勝手の手の内を考える
11.取り懸けの親指と中指のクロスをどう解くか
12.取り懸けで親指を押える位置は?
13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?
14.「離す」と「離れる」はどう違う?
15.胸弦の活用
16.弓道の離れとアーチェリーのリリースとの比較
17.正射必中に必要な幾何学的な必須条件
18.細かい話にはなりますが
19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?
20.中りに重要なのは押し手ではないのか?
21.会では見えない動作がある?
22.残身まで開く力αはどれだけ大きくできるのか?
23.集中力、モチベーションを下げない練習方法ってないの?
24.弦捻りの中心は、矢軸か親指の弦枕か?
25.カケ解きはどのように作用させればいいの?
26.既製のカケは親指で選ぶ
27.弦捻りの誤解
28.勝手の中指で親指の腹を押し出すについて
37.的中を維持するには、お風呂でエクササイズという手がある
52.的中率をさらに上げるためにやれること(削除)
→58.的中率をさらに上げるためにやれること〜(アップデート)
58.的中率をさらに上げるためにやれること〜(アップデート)
60.(続々々)夏の暑さから弓を守るには、実はすごく簡単だった
63.離れの起こるメカニズムを考察してみる
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