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2022年2月28日月曜日

◎弓道の的中(射技)の物理的考察〜「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる〜

 46.「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる


今回「矢に学ぶ」という考え方を読み返し、射の最終局面である会から離れの中で努力しなければならないことを再認識することができています。

今回もできるだけ解りやすく物理的に解説していければと思います。


「矢に学ぶ」

①矢を分ける

②矢筋にのせる

③矢押し

④矢引き

⑤矢の離れ口

⑥矢妻をとる(今回)

⑦矢になる


昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。



「矢に学ぶ」(原文)

S59.10.25

⑥矢妻をとる


  • 「矢妻」ということは、古流に「詰め合とて、離れに弓を押ゆるなり」と口伝しています。つまり、押手の手の裏の離れ口であります。だからこれは押手だけの技と考えますが「左右相応の原理」から矢妻は左右が相応しないと完璧な働きができません。


  • 会の最終段階、つまり離れの寸前は前に記述しましたように「弓圧は角見一点で受け止め」「弦圧は弦枕の一点に集中」します。つまり左右とも親指根(第二関節)に、弓弦の圧力がかかってきます。だから左右の両親指の根が離れの一瞬にどう働いてくれているかということが決定的な問題だということがわかると思います。


  • この身体の先端部にある両親指根の働きを私は次のように教えています。

押手の親指根は「伸ばして、押える」・・・的芯に向って親指の爪先を突き込む気迫で伸ばしながら、矢が離れた瞬間に弓がハネ上がらないよう親指根で弓を押え込む。

勝手の親指根は「抱えてハジく」・・・勝手に「肘がかえ」ができれば、右手の先端にある親指は自然に下弦を引き上げる感覚(かかえ)になり、押手の伸びに対応して親指がハジくと瞬間に弦はほどける。


  • このとき注意することは、押手の親指が働いている(伸び)うちに勝手の親指を働かせる(ハジく)ことです。これを昔は「阿吽の呼吸」とか「オウム(鳥)の離れ」とか言っていました。つまり「押手の働きにつれて勝手が働く」それが正しい相応の原理です。


  • 参考のために申し添えますが。「左右は必ず相応する」ということです。例えば押手の手の裏が「堅い」ときは、必ず勝手は「弦にしがらんで」弦もつれします。反対に勝手で方引きしますと、必ず押手は浮き上がってブラつくもので、残身を見たらすぐ均衡が破れているとわかります。



少し難しい表現となっているので解りにくいのですが、ここでのポイントは以下の3点のように思います。


  • 矢妻をとるとは押し手の技ですが、押し手の手の内の効かせるだけではなく、左右を相応させて働かせることが必要。


  • 両親指の根(角見と弦枕)の働かせ方について

押し手の親指先は的芯に向かって突き込むイメージで、離れた瞬間跳ね上がらないようにする。(剛弓を引くには必須でした)

「勝手の親指根は抱えてハジく」は、

・3つの指を薄くし親指を中指で押すようにする。

・肘から先で弦捻りをかけ、ハジける(取り懸けが解ける)臨界状態を創る。

解りやすく物理的に表現すると、弦を捻りながら弦枕で弦を前に送り出すようになればいいのです。


  • 左右は必ず相応する。(ここが非常に重要であることに私たちは気付かなければなりません)・・・押し手の親指と勝手の親指は全く同じように働かせれば良いということです。

押し手は、角見に弓力を感じながら的に親指をまっすぐに伸ばしていく。

勝手は、弦枕(押し手の角見とほぼ同じ位置)で弓力を感じながら親指をまっすぐに伸ばしていく。

簡単に言えば、勝手の親指も押し手の親指と同じように的に向かってまっすぐに伸ばしていけばいいだけということになるのです。(ここをアレコレと別々に教える人が多いので、逆に迷いを与える結果につながってしまうようです)

実際には、

押し手の親指は会では弓力で曲がっているが、力としては的に向かってまっすぐに伸ばしている。

離れの瞬間、勝手の親指も的に向かってまっすぐ伸びている。



<まとめ>

「左右相応」を意識すること。

押し手、勝手それぞれ機能は違うが動きは同様であることに気付くことは、安定した的中を実現するためには大切なのです。



次回は、「矢に学ぶ」⑦矢になる を予定します。

的中と仲良しになるためにまたのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。


がんばれ!

2022年2月6日日曜日

◎1月のベストな的中

 1月のベストな的中は、これです。

断続的な弓道場の休館で稽古が不規則になっていた影響か、歳をとるとどうしても悩まされる肩関節痛(左)と付き合い四苦八苦しながら、今年の稽古は始まりました。

このように、4射目まで会での矢の澄みをなかなか保てず、納得のいく離れを出せません。まだまだ、筋力を回復させることが必要なようです。



的中と仲良しになるためには、ぜひ、弓道の的中(射技)の物理的考察を参考にして稽古を楽しんでください。


がんばれ!&


 

2022年2月5日土曜日

窓シャッターは優しく開けてくださいね〜ペアガラスサッシに内窓(完結編+α)〜


前回、

窓シャッターは優しく開けてくださいね〜ペアガラスサッシに内窓(完結編)〜

前々回、

窓シャッターは優しく開けてくださいね〜ペアガラスサッシに内窓?〜

で内窓を作ったことを紹介しました。それは、隣家の窓シャッターの開閉音を遮音するためでした。

塩ビ板で同じ木枠の内窓を8枚作製して、二重に付けました。


暗騒音は25dB程度と静かになり、「ガラガラガッシャーン」は防ぎ切れてはいませんが、少しはソフトにできたようです。隙間風も無く、断熱効果もあります。



今年の冬は例年よりも寒い日が続きます。

出窓もペアガラスサッシなのですが、サッシや窓表面は冷たくなります。

コロナで増えているお家時間を有効に活用して、断熱効果を高め暖かく過ごせるように、出窓側にも同じように内窓を作製して追加しました。

窓ガラスにはダイヤモンド柄のフィルムを貼ったので、隣家が丸見えとなるよりも、朝陽が虹色に光る感じがいいです。


今回は一重の内窓ですが、窓の表面の冷たい空気が遮断される効果はあります。

最近の寒い日でも、オイルヒーターは低のつまみ低めで室温は20℃を超えてます。


遮音効果もあって、暗騒音は25→20dB程度まで下がりました。

国道246号線から50m程度の距離にある木造住宅の室内にしては、上出来だと思います。


暖房や冷房を見直す時、エアコンやヒーターだけにとらわれない視点も大切ですね!

自作の内窓、なんちゃってインプラスの続編でした。



2022年1月29日土曜日

◎弓道の的中(射技)の物理的考察〜「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口〜

 45.「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口


初心者で、最初の立ちに入った時は、矢をつがえ、弓を引いて、握った弦をどうやって離したらいいのか?みんなこのような状態であったことでしょう。


しかし、稽古を重ねていくと、引き分けから会に入って早々に、押しと勝手のタイミングを合わせて離すことを覚えてしまいます。それだけで、結構、中りが出ます。


練習量の多い学生の時にはこれでもいいのですが、社会人になってくると、ぐっと練習できる回数は減って、週に数度、数十射かといった具合になってきます。


そうすると、離れのタイミングも合わなくなってきますし、タイミングよく離す練習を続けることにも疑問が湧いて来るようになります。そして、次の目標を見失ってしまいます。


今回の内容が、その疑問の答えになって、次の目標を見いだすきっかけになれば幸いに思います。



「矢に学ぶ」

①矢を分ける

②矢筋にのせる

③矢押し

④矢引き

⑤矢の離れ口(今回)

⑥矢妻をとる

⑦矢になる


昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。


「矢に学ぶ」(原文)

S59.10.25

⑤矢の離れ口


  • 「離れ口」と申しますのは「離れを誘う手口」であります。これは「放す手口」つまり「放し技」と誤解してはなりません。離れは自然に起る現象です。だから「矢の離れ口」とは、矢が矢筋通りに離れて行くように「矢筋に乗せてやる手口です」

  • 矢の離れ口について、弽と弦の「分かれ」か、それとも弦と矢の「離れ」かという議論もありますが、一番トラブルの起こり易いのは弽と弦の「分れ口」であります。矢筋通りに弽が「弦分かれ」すれば、弦はそのまま真直ぐに矢を押し出すことになります。

  • 離れ口について押手から離れ口をとるか、それとも勝手からとるか、という問題があります。昔は弓術時代(斜面打起こし)は、勝手から離れ口をとりましたので弽の「掛け口」について随分沢山の口伝を残していますが、これは非常に難しく、今日でも勝手離れする初心者は絶対に矢が定まりません。私は近代射法の在り方(正面打起こし)から長年、押手からの離れ口をとるように指導してきました。

  • それは「押手から弦をほどく」という手法であります。いろいろ指導する場合も必ず押手から教えていますように、押手さえ確かなら少々「弦もつれ」しても「矢ぶれ」しても矢筋に矢を乗せることができるという経験からそうしているのであります。

  • 要するに矢の離れ口とは矢を「弦で送る」か(勝手)、それとも「弓で送る」(押手)かということから、「弦をほどく」のか、それとも「弓で押し切る」かという感覚的な差異が生じ、そこにそれぞれの対応技法が開発されていることに間違いないと思います。


ここでのポイントは、以下の3点になります。


  • 離れ口とは、離すのではなく、離れを誘う方法である。
  • 離れは、押し手から誘う

離れを誘うのは、当然、会で取り掛けが解ける寸前の臨界状態になっている段階になっていることが、必須です。そうなっていなければ、いくら押し手から誘っても、取り掛けは解けることなく、離すことになってしまいます。

  • 押し手から弦をほどく。

弦をほどくか、弓で押し切るか、2つの方法があるのですが、矢所を安定させるには、弓で押し切る方が簡単で、押し手から弦をほどくようにする方が良いと説明しています。


会で、取り掛けの3つの指を薄く絞り弦ひねりをかけることで、取り掛けが解ける寸前の臨界状態を創り出します。そこから、的に向かって弓を押し切る。それが離れの誘い方として、難しくない方法だということです。


がしかし、


上記は、剛弓を引き小離れであった時代の概念であったと思われます。

(押しに重きを置き勝手側の動きをあまり意識しない、弓が強いので、どちらかというとアーチェリーの引き方に近かったのかも知れません)


さほど強い弓を引かず大離れが好まれる今日においては、少し違ってきていることに気付かなければなりません。


大離れを実現するには、左右のバランスが重要になってきます。したがって、離れ口の取り方も当然変わってくるのです。



大離れとなるための離れ口の取り方のポイントは以下です。


  • 両肘で弓を体に充分に引きつけること。(射法八節図解「両肩の線を矢に近づける」と表現されていますが、文字どうりにとらえると、体で迎えにいくようになるので、両肘で引きつけると考えた方が良い結果になるようです)


  • 体に引きつけている両肘の張りの中心に胸を割り込んでいくことで、離れ口とします。これによって、体を中心に左右バランス良く離れの力が働くことになります。(射法八節図解「胸郭を広く開き矢を発せしむ」との表現は実にとらえづらいですね。)

上図の①②の張りをかけ続けることで矢と両肩は近づく、この時、口割りが付き過ぎないようにする(矢口が開き前下に矢が飛ぶので、③弦ひねりを増すようにして口割りとの間隔をとると良い)。離れるまで④胸を割り込む力を働かせ続けることで大離れを生む「離れ口」となる。


  • 離れのイメージトレーニングも重要です。

左右の腕を折りたたんで(会の状態を左腕も折りたたんでつくる)、両親指を伸ばしながら、空手の形のように素早く、真っ直ぐ左右に開き残身の型をとる練習を繰り返します。できるだけ「キレ」を重視してください。この動作を自分の体にインプット(学習)させます。そうすると、懸けほどきのときと同じように、実際の立ちの離れでも出せるようになります。(ゴム弓練習より重要です)これも、補助輪を外して初めて自転車に乗れるようになる時のあの感じです。

会の状態を真似て、左右へ真っ直ぐ素早く開く


なぜ、左腕(押し腕)も折りたたんで開くようにするのか?

会のように押しは伸ばしたままの方がいいのではないか?

答えは簡単です。弓圧がかかっていない状態で伸ばしたままでは、左腕の筋肉はほぼ休んでしまっているし、筋力をバランス良く働かせる練習にならないからです。


稽古の後にやると、弓圧で圧縮された骨格をリセットできるようです。(個人の感想です)


会の中で大離れを意識して出そうとすると、どうしても小手先の離れになってしまい、良い結果とはならないでしょう。イメージトレーニングを繰り返すことで、意識せずに身についた動作として出せるようになることが大切なのです。

大離れは、空手の形やダンスのポーズと同じように、身につけるものと考える方が良いと思います。


このイメージトレーニングは、残身で手が下がったり、上がったりする場合の修正にもとても有効です。

or


離れの考え方については、

◯弓道の的中(射技)の物理的考察~離れについて~

を参考にしてください。


取り掛けを解く方法については、

◯弓道の的中(射技)の物理的考察~カケ解きはどのように作用させればいいの~

◎弓道の的中(射技)の物理的考察~かけほどきを身につけよう~

で、具体的に説明しています。



<まとめ>

離れ方については、人それぞれで、いろいろと方法はあると思います。最も悩むところではあると思います。先人の経験・意見を参考にすることは、自分にあった方法を見つけ出すために必要なことだと思いますが、実状にあったものであるかは、よく考えてやってみることが重要です。



ところで、

勝手側の残身の形は、物理的には的中にはほとんど相関はないと考えられます。昔は小離れでよくても現在は大離れだという風に変化していることやアーチェリーでの引き腕の動きからも、放たれた矢の方向性にはあまり相関がないということは明らかです。なので、形やポーズと同じように身につけるもの(フォロースルー)と説明しています。



次回は、「矢に学ぶ」⑥矢妻をとる を予定します。

的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。


がんばれ!

2022年1月23日日曜日

3Dプリンタと遊ぶ~3Dプリンタの騒音を緩和する~

21.3Dプリンタの騒音を緩和する


これまで色々と活用してきた3Dプリンタですが、長時間、ウィーン、ウィーンと作動音がうるさいので、家族には少々嫌われ者です。

そこで今回は、これをなんとかしようと思います。


騒音といえば、過去にこれらの経験があります。

窓シャッターは優しく開けてくださいね〜ペアガラスサッシに内窓?〜

エコな生活〜(続)中古の新型リーフに買い変えた〜

過去に経験したサウンドガードという遮音材に期待してみましょう。

これを、各面のサイズに切って、粘着フックとタイバンドで固定します。

底面にも敷いて使用します。家具に振動を伝えないためです。


フック固定なので、前面は脱着できますし上面、側面、後面も脱着できるので、トラブルの対処にも対応できます。

自分としては満足した防音効果がでていると思いますが、騒音の感じ方は個人差があるので、安心はできませんね・・・。


2022年1月10日月曜日

◎12月のベストな的中

 12月のベストな的中は、これです。

的中には、押し手(弓手)の手の内を整えることが、大切と考えている人が少なくないと思います。しかし、そうではないことに気づくことから、弓道の的中(射技)の物理的考察は始まりました。


2022年も既成概念にとらわれないで、稽古をしていきたいと思います。


既製の弽も8年以上使うと、弦枕が変形してきました。膨らんで凸となり溝が深くなりなっています。エポキシ系接着剤で、補強しながら深さを調整しました。


弦枕の補修の方法は、

19.弦捻りをかけると離れで弦枕が引っかからないか?

を参考にしてください。



的中と仲良しになるためには、ぜひ、弓道の的中(射技)の物理的考察を参考にして稽古を楽しんでください。


がんばれ!&


 

2021年12月13日月曜日

◎弓道の的中(射技)の物理的考察〜「矢に学ぶ」④矢引き〜

44.「矢に学ぶ」④矢引き


普通、私たちは「弓を引く」と言います。

確かに実際には、弓手で弓を押し、馬手で弓(弦)を引きます。


しかし、よく考えてみると、一射の中でのインプットは矢であり、アウトプットは矢所であって、主役は矢であるということに気付かなければなりません。


「矢に学ぶ」という考え方は、矢を主体に、矢を正しくコントロールするには自分がどのようにしていかなければならないのかを考えさせてくれます。


例えば、打起した時に、教本の射法八節図解に示すように矢は水平で体に平行な位置になっているでしょうか。そうなっていなければ、なぜそうならないのかどうやればそうなるのかを考えて修正していくことが、上達していくということなのでしょう。



「矢に学ぶ」

①矢を分ける

②矢筋にのせる

③矢押し

④矢引き(今回)

⑤矢の離れ口

⑥矢妻をとる

⑦矢になる


昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。


「矢に学ぶ」(原文)

S59.10.25

④矢引き


  • 「矢引き」と申しますのは、押手の矢押しに相応し追従するように右腕を働かせることであります。一般には勝手に「張りをとる」と申しています。


  • 大三で先ずしっかり「肘かかえ」します。そのため右肩が釣り上がっても結構です。このとき「懐(ふところ)を広くとる」ために手先を「ハネ出し」、弓面と体面を離して併行になるよう気を付けて下さい。次に引取は絶対に「直引き」しないで、肘先で虹を画くように「外筋」を使って「引き回し」最後に引込みは一層弓圧が強くなるところですから、気力で矢束一杯、充分に「引きつけ」ます。そして会にはいったら、先ず右側の肩、胸を「張り」ます。(以上引技)


  • 大三のときは「下弦を引く」感覚が大切です。右肘先で弦を受け止める(肘力)と自然にそうなります。「引き回し」のときは弽が抜けるような手首に無力の感覚があれば結構で、このとき「手首かかり」となったら駄目です。会にはいると弦圧は親指腹(弽の弦枕)の一点に集中します。このとき弽の帽子の中の親指の爪先が、帽子の天井と「セリ合って」一触即発の状態になっていることが大切です。(以上手の裏)



ここでのポイントは、以下の3点になります。


①勝手は押手に追従させてバランスをとること。

②大三では「肘をかかえ」「懐を広くとる」こと。

③肘で引き、手首を力まない。勝手の手の内では、「親指の爪先が帽子の天井とセリ合って」一触即発の状態にすること。


②では、「大三では、右肩が釣り上がっても結構です」とあります。

大三の右腕の位置では、骨格上肩が上がる方が自然であり、ここで、右肩を下げるようにすると、右肩の上腕の関節が後ろまで入らなくなり、右肘の収まりが悪くなります。このことが解るように、以下の記事で、骨格動画を紹介しています。

36.両肘の張りと弓の裏反りは似ている?

③で、実際には、かけ帽子の中で親指は曲がってしまうので、爪先を帽子の天井とせり合わせるという感覚(既成概念ですが)は実現するには難しいように思います。文字通りにやろうとすると、どうしても手が開く離れになってしまうようです。


懸け解きの作用を考えると、以下の記事で説明したように、弦ひねりを効かせた上で、弦枕で弦を押し出していくという具体的な力のかけ方で考えるほうが理にかなっているように思います。

39.かけほどきの力の反作用も考えてみよう



物理的な現象で見れば、親指を押さえている中指が摩擦で止まっている限界を超えて弽帽子から外れることが離れの瞬間です。そして、その動きは、親指(弦枕)を中心とした弦ひねりと矢軸方向の肘の張りとの合力によってもたらされます。(青矢印)

矢所のバラツキは、こらの力の強弱ではなく、中心と方向をどれだけ精度良く合わせることができるかで収束させることができるのです。


両者は、表現が違うだけなのかもしれませんが、誤解のないように理解した方が良いでしょう。


いずれにせよ、最終的には、「一触即発の状態」に持っていかなければならないことは同じです。



<まとめ>

弓道教本の射法八節図解にあるように、矢の水平・平行を保つことは容易なことではありません。しかし、物理的には、そうすることによってブレの原因となる分力を抑えられる形であることは明らかです。力の強弱ではなく、力の中心や方向の精度の高さが的中に結びつきます。なので、そういう形にするにはどのように引けば良いのかを考え、工夫していくと良いでしょう。



次回は、「矢に学ぶ」⑤矢の離れ口 を予定します。

的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。


がんばれ!

2021年12月4日土曜日

◎11月のベストな的中

11月のベストな的中は、これです。

なんとか、会を保ちながら40射程度まで引くことができるように筋力は回復してきました。しかし、余裕のある引き方にはなっていないので、矢所はまだまだ安定していません。


的の中にバラついて中るより、こういった外れの方が、復活を予感させてくれます。


2ヶ月間の稽古のブランク明けの再開で、あらためて気付かされたのは・・・、

やはり、会が無ければ、離れへ導くための力の中心や方向を、精度良く合わせることはできないということです。


会が楽しめるようになれれば、もっと本質に近づけるように感じます。



的中と仲良しになるためには、ぜひ、弓道の的中(射技)の物理的考察を参考にして稽古を楽しんでください。


がんばれ!


 


2021年11月13日土曜日

◎弓道の的中(射技)の物理的考察〜「矢に学ぶ」③矢押し〜

 43.「矢に学ぶ」③矢押し


今回の2ヶ月の弓道場の休館期間は、稽古のブランクからの復活の方法を学ばせてくれました。もうこのようなことが無いことを望みますが、受験、就活、体調不良、出張、転勤などでブランクになってしまう人も多いかと思います。そういったときのリスタートを好機に、ぜひ、このブログの記事を参考にして理にかなった引き方を身に付けてください。


「矢に学ぶ」

①矢を分ける

②矢筋にのせる

③矢押し(今回)

④矢引き

⑤矢の離れ口

⑥矢妻をとる

⑦矢になる


昔の考え方なので、今では違和感があるところもありますが、今回も原文のまま紹介したいと思います。


「矢に学ぶ」(原文)

S59.10.25

③矢押し


「矢押し」と申しますのは「矢筋」回りに、「手筋」を動かすということであります。一般には押手に「伸びをとる」と申しています。


先ず大三で少し「振り込み」することによって、押肩の据わりをよくし、次に大三からの引分けには、先ず押肩から「下筋」を使って押しはじめ、三分の二あたりで押肘を「詰め」、会にはいる前に「上筋」をキチンと定め、弓圧は「角身」一点で受け止めます。(以上押技)


会にはいったら「鵜の首」(親指)を油断なく的に近づけるよう伸ばして行きます。これが「心気の働き」です。このとき「小指」を自分の方に引き寄せると一層角身が利きますが、その「利き具合」が緩急自在でなければなりません。(以上手の裏)



ここでのポイントは、以下の3点になります。


①的に向かって真っ直ぐに押していくこと。

②角見で弓を押すこと(ベタ押しにならないこと)。

ここは、既成概念の部分なので、物理的には、弓の捻りを効かせて、角見の皮を巻き込み、中手骨で真っ直ぐ押すということになります。


③弓の姿勢は角見と小指で安定させること。


②がよく誤解されます。

実際には、弓は虎口(親指と人差し指の間)に面で当たっており、角見の部分が強く当たっていれば良いわけですが、皆さん「角見で押す」と表現するので、文字通り角見の部分を弓に当てて手首を控え過ぎ手首を捻るように離す人も多く、このような離れになっている人は、往々にして、頭や腕を弦で払ってしまっています。


以下の記事を参考にして下さい。

13.押し手の手の内を作るとき、角見の皮を巻き込む?


29.弓返りに大切なのは弓の捻り


注意したいのは、小指を無理やり巻き込んで、ベタ押しや握り過ぎにならないことです。手首の力みで弓の姿勢を崩してしまいます。虎口と小指の引っ掛かりの2点で充分です。弓返りは手の皮と弓との捻りのモーメントが起こしてくれます。


大三からの引き分けの時の力のかけ方の説明もあります。矢の水平と体との平行を保つようにして(ここが非常に難しいのですが)、動作を押しから行うことを意識して引けば、自然にこの説明のようになってくるでしょう。



<まとめ>

弓道の伝承には、誤解を招く表現もあります。鵜呑みにするのではなく、冷静に物理的に考え、理屈に合わないと感じたら良く確認して行い、射癖とならないようにしましょう。



私は、大学の弓道部で弓道を始めました。最初は、高校からの経験者が良く的中を出すので羨ましく思いましたが、身に付いた射癖が修正できずに伸び悩む人も多かったように思います。理屈を理解できれば修正は出来ます。



次回は、「矢に学ぶ」④矢引き を予定します。

的中と仲良しになるために、またのお越しをお待ちしています。

解りにくいところがあれば、遠慮なくご質問ください。


がんばれ!